2014年12月21日

[旅田卓宗のたそがれ日記](12月21日・息子)

子供の頃から糖尿病で悩んでいる息子からメールが届いた。

珍しいことだ。どうかしたのかな?一瞬不安が過った。

「おとん起きてる?会社へ財布忘れて来たんで困ってんのよ、それでお金貸してくれへん?」

財布を忘れたのではなく、お金がないのだろう?

派遣社員の安月給だから月末は苦しいに違いない。

「お父ちゃんも年金生活だから1万円ぐらいしか助けてやれないぞ」

午後11時頃息子がやって来た。

相変わらずの髭面だ。

病状が悪いのか、かなり痩せているのが気になった。

「病院へ行ってるか?目の充血は早く手術せんと失明するぞ」

息子はうん!と小さく答えて頷いた。

本当はもっと助けて欲しいのに違いない。

しかし今の僕には1万程度しか助けてやれない。

すまんな!頼りないお父さんで。

夜空の闇に消えて行く息子の

軽自動車を姿が見えなくなるまで見送った。

息子から再びメールが届いた。

「おとん、ありがとう」

息子のこれからに果たして明るい未来があるのだろうか?

心配でならない。

ぺペンペンペン

(読者の皆さん、ありがとう)

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【単行本 旅田卓宗(元和歌山市長)の選挙必勝法】
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


本を出版しました。
値段は高いですが読むに値します。
近くの書店にない場合はアマゾンに申し込んで下さい。
→アマゾンでのご購入はこちら

※アマゾンが売り切れの場合は、出版社「白馬社」へ直接メールしていただくとご購入できます。(送料無料)
白馬社 メールアドレス:info@hakubasha.co.jp

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
(一度大衆演劇をご観劇下さい。支配人 旅田卓宗)
大衆演劇 和歌山新吉宗劇場 公式サイト
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
[ ザ ッ ! 冤 罪 2 ](興味のある方はお読み下さい)
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

予定の3ヵ月を終えた頃、折角だから区切りのいいところで

年内いっぱいやろうという事になり、遂に大晦日まで続けた。

ところがボランティア清掃を止める事が出来なくなってしまった。

師走に入ってから、世間がにわかに騒がしくなって来たのである。

どうやら僕が収賄容疑で近々逮捕されるらしいと、

まことしやかな噂が流れ出し、

頻繁にマスコミ各社が僕を追い回して来るようになった。

何の事かさっぱり分からないまでも、日に日に噂が高まる中で、

僕が街頭から消える事は、なお一層その噂を助長させる事になる。

やむを得ず正月が明けてからも当分続ける事にした。

正月が明けた。初清掃は1月6日午前10時と決めていた。

市内のメインストリート、けやき大通りの真ん中、

三木町交差点から和歌山駅に向かって清掃し始めたときだった。

人相の悪い数人の男が静かに近づいて来た。

暴力団のような顔つきをしていた。

ところが言葉は至って丁重に話かけてきた。

「あのう〜、捜査2課の者ですが・・・

ちょっと西警察署まで御同行願えませんか?」

迎えの車に乗り込むなり逮捕状を見せつけられた。

容疑は収賄。詐欺事件で逮捕されている吉永建設の木下社長から、

和歌浦にある不老館という、潰れた旧い旅館を市が

買収した際、僕が3百万円の賄賂を

受け取った事になっているらしい。

「冗談でしょう?」
 
捜査員に苦笑しながら尋ねた。

「いいえ、本当です」

捜査員は真面目くさった顔で答えて来た。

(クックックッ)僕は心の中で笑ってしまった。

僕は3百万円や5百万円で心を売らない。

何十億円なら、ちょっと考えるかも知れないけれど・・・。

警察も随分功を焦ってドジな事をするものだと呆れてしまった。

まあ〜22日間の勾留期限が来れば警察本部長あたりが

「スミマセン間違っていました」

そう詫びを言ってくれて釈放されるだろうと呑気に構え、

ニコニコ笑いながら取り調べを受けた。
 
(続く)

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
  

Posted by           at 05:25Comments(0)